EVENT REVIEW
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九州人の、九州人による、九州人のためだけではないイベントが、ここ西麻布で開かれた。
九州のアーティストだけで構成されたという驚くべき集団ninesの立ち上げ的イベントであり、
ハコ側も九州縛り”というイベントコンセプトはもちろん初の試み。
23:00開始予定を大幅に上回っても依然として入り口の扉は貝のように堅く口を閉ざしているようだ。
1階から地下3階までずらずらと階段に並ぶオーディエンスたちは、寒さをこらえながら九州への船出をイマかイマかと待った。
23:45どうしたんだ?という心配がアタマをよぎったのも束の間、
零時を回った頃には300名にも達する超満員のオーディエンスたちで埋め尽くされていた。
入ってすぐ目に飛び込んできたのは、ずらずらとバーカウンターにディスプレイされた焼酎の一升瓶。
黒檀色の輝きを放っている。それらを大事そうに抱えていそいそと何かの準備をしているnines girls。
ラウンジ脇には、ネイルアーティスト2名が常駐するブース。思い思いの時間を過ごす彼ら、彼女たち。
ラウンジの白さから一転して、メインフロアはブラックホールの如き求心力を以って、会場の鼓膜を揺らす。

ああ、今、世界は九州を中心にまわっていて、ここにいる九州人だけが全世界の構成員であって、ここ以外の時間も空間もすべては幻…。
これこそが永遠…。永遠を感じる今この瞬間こそが世界のすべて・・・世界の全ては九州のすべて、九州の全ては世界のすべて・・・・。
いやいや、そんなわけはないのだけど・・・。
そんなわけはないのが分かっていても、そんな気持ちになってしまう、おそろしさとたのしさが同居したこのハイなオーディエンスと
ninesのメンバー。意識が朦朧としていく。
乾ききった目で朝焼けを見上げ、西麻布交差点から北上するタクシーを捕まえる。嗚咽と同時にようやく気づいた。
ああ根っからのクラバーはもちろんのこと、ライブ好きや焼酎好きなら誰でも体験したくなるような仕掛けがたっぷり用意されていたなぁ。
そういえば強めのBreak beatsがしばらくつづいたかと思えば、なんだか懐かしいような民謡が流れてきた。
——花は霧島 煙草は——
深く沈む意識の中で、粋に振舞われたグラスを掴んだ。やはり焼酎だった。クラブで焼酎呑んだのは初めてだ。
これが九州人の粋か。東京生まれ新宿区育ちの僕でもわかる。ああ、これが九州なんだ。
超時間、音と光にまみれて体を揺らしていると、脳みそとそこにつながる全神経がおかしな勘違いをしてしまう。
覚醒なのか昏睡なのか、上昇し続けるフロアの熱気と完全に一体化して、限りなく
高くどこまでも深いその場所からさらに臨界点を目指し進む。奇跡は前触れもなく訪れる。
そっとあなたの肩を叩く。ピンクのワンピースと派手な下着にその身を隠したのVo.が笑う。その手を握り返し、
二度と離さないと心に誓う。

我に帰った時、そこに世界が待っていなくても構わない。だってここは東京の、否、九州そのものなのだから。
ninesはイマ、九州と東京、そして世界とオーディエンスとの距離をグッと縮めた。
今後、彼らはどのようなサプライズをおこし、平成の明治維新をおこしてくれるのか。
いずれにせよninesから目が離せないことは間違いない。
我々は、座して2006年3月4日、恵比寿MILKでの再会を待つのみである。
文 北崎 幸一
写真:中尾 純
REVIEW BACK NUMBER
- [2006.03.04]
- Club nines vol.2 恵比寿MILK
- [2005.12.23]
- niens LIVE vol.1 渋谷屋根裏
- [2005.11.26]
- Club nines vol.1 COLRS STUDIO (西麻布)
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