EVENT REVIEW

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2006.03.04.sat CLUB NINES at 恵比寿みるく

会場に入ると、九州各地の民謡のメガミックスが流れている。
入ってすぐのバーカウンター向いには、恒例でありイベントの象徴ともなっている焼酎の一升瓶が大量に、かつ整然と並べられている。
今回は、初となる2フロアの同時進行で、上下に振り分けられたアーティストをオーディエンスが
好きに選んで楽しむという趣向が凝らされてある。基本的に地下2FがバンドとプロDJが渾然一体となったLIVEステージ。
地下3Fは都内各所のクラブでレジデントを務める九州出身のDJがおよそ1時間ずつスピンするといったもの。

ラウンジが隣接しているためまったりするも吉、フロアでガンガンに踊るも吉、といった構成だ。
大型スクリーンには、VJ集団Re_Vision+Code anna、kaiseiのハイクオリティな映像に焼酎会社のロゴが映し出されている。
前代未聞の演出。

最初のステージにはPANIC SMILEが現れた。今夜も鬼気迫るVo.吉田氏の表情が印象的だ。本人たち自らも言うように
彼らはポストロックでも変拍子バンドでも、プログレバンドでもない。吉田氏のギターに貼ってあるステッカーを観れば一目瞭然だ。

MINOR THREAT、BLACK FLAG、FUGAZI等々。PANIC SMILEは、まさしくStraight Edgeのエモーションを受け継いでいる。
迫力と貫禄の音、迫真の言魂を吐き出してステージを去っていく様は、観ている側を圧倒する素晴らしいライブだった。

と、そのとき、舞台上部に大物DJが登場。Duck Rock、その人だ。
ニューウェーブとロックとパンクとAORを足してごちゃまぜにし、世の中のビートというビートを噛み砕いてするりと滑り込ませる
サウンドが耳に新しい。時折混入されるFranz Ferdinandのようなメガヒットアンセムも新鮮に聞こえるから不思議だ。
ロックともパンクともニューウェーブともディスコとも言い難い摩訶不思議なDuck Rockワールド。

ミズモトアキラのDJプレイは、クロスオーバーの頭上をはるかに越えてみせる選曲なのだ。
フロアは間違いなくこの日イチバンの込みっぷりをみせていた。
地下3Fは、ほどよくゆったりなラウンジフロアと想定していたのが甘かったのかもしれない。
そこは完全なるダンスフロア。しかもミズモト氏のプレイは、徐々にアクセルを踏むように、
はじめの一歩がデンプシーロールの回転速度を上げていくような絶妙のスピードでオーディエンスの熱気をコントロールし、上げていく。
最後に発した「ミズモトアキラでした!!」のコールアンドレスポンスが今夜のすべてを物語っていたように見えた。

そしてヘッドライナー、川辺ヒロシa.k.a TOKYO No.1 SOULSET DJ。
今回の出演は、久しぶりに土日にかけてのプレイということと、INK(川辺ヒロシ×石野卓球)結成を公表したばかりという
絶妙なタイミングという、それだけでおなか一杯になりそうな好条件が揃っていた。
川辺ヒロシが鳴らす音は、重い。そして厚い。重いからこそ全てを躍らせ、厚いからこそ、人々が無になれるのだろう。
ストイックなプログレッシヴハウスを中心に、ミニマルテクノ風やガラージっぽい選曲を織り交ぜつつ、その1時間を鮮やかに彩った。

背後に移るスクリーンにはTOKYO NO.1 SOULESTの文字。オーディエンスのみんなが追いかけてきた情景が確かにそこに存在していた。
九州に川辺ヒロシあり。東京ナンバー1、川辺ヒロシ。それは確固たるものである。

DMC JAPAN準優勝の経歴を持つDJ KENONE率いる3人組のスクラッチユニットEXAPMLE feat. 川崎 竜一(Dr.)が、
DJブースの要塞と共に登場。
まずEXAPMLEが華麗なスクラッチルーティンを披露し、途中からドラマーの川崎がビートを叩き込む。

川崎のドラムから紡ぎ出されるタイトでラグジュアリーなJazzビートに、Scott Herrenのようなエレクトロニカからのアプローチで、
カットアップとスクラッチが2重3重にも積み重なる。オーディエンス全員が溜息の出るほど優雅な4人のプレイに魅了された。

そのほか、ポップで激しい4つ打ちハウスバンドを披露した人気のHI-5や、連続出演のパーティバンドPAYAN PAYAN、
プロにまったく引けを取らないNINESレジデントDJたち10名弱が強力にサポートを務め上げ、
このイベントの屋台骨を支えていたことが記憶に残る。

回を重ねるごとに、新たな側面が垣間見えるCLUB NINES。

まだ成長段階ではあるが、全員で創り上げているというこのアットホーム感をずっと忘れないで欲しいと願う。

文:北崎 幸一
写真:埒 由起子 / 井上 聡美

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