NINES MAGAZINE
独特な佇まいでマイルス・デイビスにも劣らぬ鋭利な音を響かせるトランペッター、タブゾンビ。彼は鹿児島で生まれ育ち、現在は6人組爆音ジャズバンド「SOIL&”PIMP”SESSIONS」でトランペットを務めている。
SOIL&”PIMP”SESSIONSは、社長(アジテーター)、タブゾンビ(Tp)、元晴(Sax)、丈青(Pf)、秋田ゴールドマン(B)、みどりん(Dr)のからなるジャズ・バンドである。自らの音楽を「DEATH JAZZ」と称してクラブを中心に活動し、その確かな演奏力とクオリティの高い楽曲から、2003年に音源をリリースしていないバンドとしては初めて「FUJIROCK FESTIVAL」に出演。話題をあつめた。
そんな彼らが今回のツアー「SOIL & “PIMP” SESSIONS TOUR 2007+」で初めての鹿児島ワンマンライブを行うと聞き、レポートするために鹿児島へと飛んだ。

錦江湾から望む桜島

天文館を走る路面電車

ライブ会場:CAPARVO HALL
タブゾンビが大好きだというメタルバンド「メタリカ」と同じSE[EXTACY OF GOLD]が流れ、照明で赤く照らされたステージにメンバーが登場すると、たくさんの歓声や拍手が!
そして、ひと呼吸。丈青が[Follow]のイントロを弾くと、客席からは「キャー!」という沢山の声と、巷のロックキッズたちのようにしっかりと握りしめられた拳があがった。

アジテーターの社長が「お前ら着いて来いよ!」と客席を煽ると[Suffocation]、[閃く刃]、[Memai]とアガるナンバーが立て続けに飛び出す。華やかなホーンズと音色豊かなリズム隊、そして社長の咆哮がこだまする壮絶な幕開け。タブゾンビもその細身の体をしならせながら、マシンガンのようなソロを披露。ステージぎりぎりまで客の近くに寄り、管でオーディエンスを煽りまくる姿にオーディエンスは早くもヒートアップする。
夏を思い起こさせるような軽やかなサウンドの[Summer goddess]、ホーンのタイミングが絶妙な[Pluto]が続くと、オーディエンスは狂乱のダンスの世界に没頭。モッシュが強くなり、私の背中にはぶわっと後方の熱気が伝わってくる。
「踊らせるだけがソイルじゃない」と始めたのは映画[Mo’better Blues]のカヴァー。群青色のライトを浴びたタブゾンビはまるで哀愁ただよう映画の主人公のよう。しっとりとしたソロと1分以上も吹き続けるお得意のロングトーンに魅せられて、そこかしこで恍惚としたため息が漏れる。
ワンマンではおなじみの丈青、秋田ゴールドマン、みどりんによるピアノトリオ「J.A.M」の演奏を挟んで、再び6人での第二部がスタート。
アルバムではパンク調のドラミングが印象的だったものをメロウにアレンジした[i-rony]、缶コーヒーのCMに起用された[Sahara]、ラテン調のメロディの[Mature]など新旧交えたソイルらしいナンバーが、メンバーとオーディエンスの距離をだんだんと縮めていく。元晴がサックスを持ったまま客席に乱入すると、オーディエンスは大興奮!もみくちゃにされながらも演奏を続けるという彼の超人的な肺活量と体力には感心する。
ラストはライブでは恒例の「SOILコール」という儀式。オーディエンスはすっかり汗だくになった拳をあげ、ありったけの声で「SOIL!!」と叫ぶ。
「ライブは俺たちが作るんじゃない、お前らの声があってこそ成立するんだ。まだまだ声が足りないから、鹿児島のスーパースターのタブゾンビさんに一言言ってもらわなきゃ」と社長。それに笑顔で応えたタブゾンビは「鹿児島ー!こんなもんじゃねえだろ!」といつになくアツい調子で絶叫。その気合いに呼応するように、オーディエンスのSOILコールはハコ中に反響するほどの大声へと変化!
本編ラストの[The Slaughters suite]の演奏が始まると辺りは熱狂!ヘッドバンキングをするオーディエンスまで現れ、ジャズのライブでは有り得ない光景に。それでも笑顔で拳をあげ、叫び、ヘッドバンキングをする姿に鹿児島の人々のたくましさを感じた。
アンコールでは大きな「タブゾンビコール」が起こり、うれしそうな顔でタブゾンビが登場。しかし感激のあまり話すことが出来無かったようで、結局タブゾンビの実家の書店を3回叫んで宣伝するという、オフステージならではのキュートな面を見せた。
最新アルバム「Pimpoint」から[マクロケ]と[マシロケ]を演奏。疾走感のあるホーンがオーディエンスをさらに盛り上げ、ラストの[satsurikuニューウェーヴ]もばっちりきまり、初の鹿児島ワンマンは大成功で幕を閉じた。
SOILを初めて見たというタブゾンビの同級生は「ソイルで吹いているタブくんはなんだかものすごく大きく見えた!」と興奮した様子で話してくれた。「高校時代から目立っていた」というタブゾンビの地元凱旋は、公演の2ヶ月も前から地方メディアや街で話題になっていたそう。その気持ちに答えるように、タブゾンビからは「故郷・鹿児島に錦を飾りたい」という気合いが感じられ、演奏を通してメンバーにも伝わり、いつもよりもメリハリのある良いライブだったように思う。
その他にも初めてライブをみたファンからは「ジャズっぽくないけどかっこいい」「誰でもオールマイティに聴けそうという印象を受けた」「観客の年齢が幅広い」といった感想が目立ち、彼らのスタイルでありライブのテーマである「ジャンルの壁を越えた音楽」が鹿児島の人々にも受け入れられたのだと感じた。

ヨーロッパでの公演を終えて、満を持しての国内ツアー。国境を越えてオーディエンスを湧かせるSOIL&”PIMP”SESSIONSの音が、九州の音楽シーンをより熱いものにしてくれる日も近いかもしれない。
- 今回初鹿児島ワンマンでしたが、いかがでしたか?
- 「今年volcano(鹿児島・宮崎で行われたフェスティバル)に参加させてもらって、『ワンマンやりたいな』と思っていたので、こんなに早く叶うとは!と興奮しました。同級生とか親戚も見に来てくれてたし、ちょっと緊張しましたけどね」
- 鹿児島にいた頃はどんな子どもでしたか?
- 勤勉な子どもで「鹿児島の二宮金次郎」と呼ばれていました。
- 今後の野望をお願いします。
- 「また鹿児島に帰って来た時にはセッションにも参加してみたいです。とにかく生まれ育った鹿児島の音楽シーンを盛り上げたい!そしてゆくゆくはNINESと一緒に九州全体の音楽シーンを底上げしていきたいです!」


【タブゾンビ プロフィール】
1977年4月13日、鹿児島県生まれ。父親の影響で小学校からトランペットを始め、高校卒業後上京。大学在学中には山野ビックバンドコンテストで最優秀ソリスト賞を授賞。プロミュージシャンとしてのキャリアをスタートする。
鹿児島おすすめグルメは鹿児島最古参といわれ、鹿児島ラーメンのルーツと考えられている「のぼる屋(鹿児島市)」のとんこつラーメン。
Text:yuuka yagasaki
special thanks : VJ fat-sin
[Photograph of interview]



